フランスとオランダ探鳥記 (1992.6.20~29)


【フランスのパリ】
 再度、仕事でパリを訪れました。時差調整のため1日早く土曜日に行き、日曜日にはパリ西側近郊のサンジェルマンアンレイの森を散策しました。森の近くの公園では顔が3色のカワラヒワの仲間のゴシキヒワ、ズアオアトリ、ヨーロッパコマドリ等が見られ、頭上には多くのアマツバメ、ツバメが飛び回っています。6月も末なので、もうマロニエの花も終わっていますが、みずみずしい緑一色の森はすばらしい鳥のさえずりで満ちていました。一番目立つのはヨーロッパコマドリです。日本のコマドリとほとんど同じ姿ですが、さえずりは全く違います。カッコーとホトトギスの鳴き声が全く違うように、種類が違えばさえずりは違うんだということで納得してしまいます。ズアオアトリ、ウタツグミ、クロウタドリ等がにぎやかにさえずる中、リズムを刻むのはやはりチフチャフ (Chiffchaff) でした。

 森からパリ市内にもどり、ホテル近くのモンソー公園に行ったところ、ハトやスズメに餌をやっている人が何人かいました。私もベンチに座り、ためしにパンくずを手のひらに載せてしばらく待ってみました。来ました、来ました、やはり最初に来たのはイエスズメの子供です。好奇心旺盛な子供はあやしげな(?)東洋人の手のひらにも恐れずに飛んできて、留まってパンをついばみ始めました。なんともこそばゆいような、気持ちの良い感じです。鳥の重さはほとんど感じません。そのうちにお母さん、ついには頭が青くてのどが真っ黒で立派なお父さんまでが手のひらに来ました。外国へ行ったときは残ったパンくずは捨てずにポケットに入れておきましょう。双眼鏡などなしで、鳥達と楽しいひと時を過ごすことができます。


(1)アムステルダム、(2)デン・ヘルダー、(3)テッセル島

【オランダのデン・ヘルダー】
 仕事を無事終えた後、大雨のパリを発ってアムステルダムへ向かいました。今回は運賃が安いKMLを使ったおかげで、オランダに立ち寄ってもお釣りが来ました。目指すはヨーロッパのバードアイランド、テッセル島です。スキポール空港からアムステルダムへ、さらにその北側へ約1時間のデン・ヘルダーへ鉄道で向かいました。 列車の窓から外を眺めているとほとんどが牧場で、線路とは水路で区切られています。いるいる、そこここにミヤコドリがいます。他にアオサギ、マガモ、キンクロハジロ、タゲリ、ユリカモメ、ニシコクマルガラス、カンムリカイツブリ、セグロカモメ等が見られました。

 デン・ヘルダーはおちついた港町です。町外れの海に面したホテルの付近では、ニシコクマルガラス(カラスはこればかりで、ほとんどが少し灰色がかった中間型です)がキャーキャーと賑やかです。セグロカモメ、ミヤコドリ、カササギ、シラコバト、タゲリ、ホシムクドリ、ユリカモメ、ヨーロッパコマドリ、クロウタドリ、オオバン、チフチャフ、モリバト、シジュウカラ、ミソサザイ等が見られました。特にこの町はミソサザイが多いようで、ぼんやり見ているとある老人が自宅にミソサザイの巣があるから来ないかと誘ってくれました。ついて行ってみると、庭の畳んだパラソルの中に巣があるとのことで、いつも灰色の大きな鳥を追っ払ってやっているとのことでした。お互いに下手な英語でなかなか意思が通じませんが、楽しい一時を過ごしました。

 次の朝、ホテルを出て、ずっと堤防の上を歩いて港まで行きました。堤防は、海の近くは石積み、その上2/3位までは砂とアスファルトで、一部平らにして自転車道路にしてあり、その上と陸側は芝生(牧草)になっており、コンクリートは全く使われていないそうです。オランダの堤防はどこに行ってもこの仕様で作られているようでした。自然環境への配慮が感じられます。ワッデン海の干拓も残された生態系を守るために中断されているそうです。さて、朝8時35分発のテッセル島行きのフェリーに乗りました。オランダの人は規則的なダイヤを好むようで、バスもフェリーも毎時同じ時刻で、非常にわかりやすい時刻表です。

 
テッセル島全図、黒い鳥の印が鳥見ポイント(ecoMareのパンフレットより)

【オランダのテッセル島】
 フェリーは30分でテッセル島に着き、't Horntjeの港で下りてすぐに貸し自転車屋がありました。丸2日で12.5G(900円)でした。テッセル島は縦24km、幅10kmのほぼ平坦な島で、サイクリングにはうってつけです。自転車屋さんで売っている地図にはあちこちにバードサンクチュアリの印があるので、近くから順番に回ることにしました。最初はMokbaaiという入り江を眺めると、ツクシガモの大群、ユリカモメ、ミヤコドリ、タゲリが多数いました。次に、Horspolderという牧場の中の小さな池にはユリカモメ、ツクシガモ、ミヤコドリ、ハイイロガンアジサシ、キョクアジサシ、等がそれぞれ子育てをしています。次のGeulの池とその周辺では、ヘラサギ、ハイイロチュウヒ♂♀、子連れのキジ、オグロシギ、ダイシャクシギ等がいました。チュウヒもいましたが、頭と肩が金色に輝きとてもきれいでした。

 こんなふうに書いているときりがないので省略しますが、泊まったホテルはDe Koogの町にあり、その名がStrandplevierといい、オランダ語のシロチドリでした。オランダでは150種以上の鳥が繁殖しているそうで、この島でもあちこちで子連れの鳥に出会います。カモ類では、ホンケワタガモ、マガモ、ツクシガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロの子連れを見ました。また、シギ類は繁殖地では草原で見られます。オグロシギ、ダイシャクシギが牧場に子連れでいました。ソリハシセイタカシギは水辺にいました。いずれも子供はくちばしが短く、それなりの方向に曲がっていました。あちこちの木の柵の上にはアカアシシギやオグロシギが留まっており、近づくとギーギーなきわめきます。他にもヨーロッパムナグロ (Golden Plover) 、ハジロコチドリ (Ringed Plover) も見られました。

 私はどちらかというと水鳥の方が好きなので、あまり森の小鳥を見る時間がありませんでしたが、ムネアカヒワ (Linnet) というベニヒワの仲間が印象に残りました。やはり赤い鳥はきれいですね。その他に、ムナフヒタキ (Spotted Flycatcher) 、ヨーロッパビンズイ (Tree Pipit) 、コノドジロムシクイ (Lesser Whitethroat) 、シトロンヒワ (Citril Finch) 、マキバタヒバリ (Meadow Pipit) 等も見られました。


Muyで集団繁殖しているヘラサギ(ecoMareのパンフレットより)

 MuyとDe Slufterの保護区は10平方km以上あるんですが、延々と柵がめぐらされ、道路には扉が設けられています。扉は45度斜めにしてあり、持ち上げて通ることになり、開いたままにはならないようになっています。これにより家畜の侵入を防いでいるようでした。また、保護区の中には決められた探索路があるんですが、人の通行により地肌が見えているようなところには干し草を厚く撒いて保護してありました。ヘラサギの繁殖で有名なMuyは入口にカギがかけられていました。繁殖期には立ち入りが禁止されているそうです。私としては残念でしたが、鳥の気持ちになって満足して引き返しました。

 帰りに、アムステルダムの駅前の運河でカンムリカイツブリの親子を見ました。カンムリカイツブリの子供は初めて見ましたが、全身しま模様で目が赤く、ヒタイに赤い斑点があるので、三つ目に見えます。運河めぐりの船が頻繁に通る運河で平然と子育てをしているようでした。


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